TECH ACTION #2
ニホンミツバチで
農業を復活させる「BeBees」
健全な未来を実現するために。
問いへの答えは、農業。
健全な未来を実現するために、フクシマ化学はなにをすべきなのか。その問いに向きあったとき、社長である福島の視線は、まず“農業”へと向けられました。高齢化が進み、担い手不足によって耕作放棄地が増えている現実。この状況を技術の力で少しでも変えることができないか。
より負担の少ない農業を支える農機具の開発 ——
その可能性を探るため、福島は実際に農家のもとへ足を運び続ける日々がはじまりました。
現場の声に耳を傾けるなかで、ある言葉が胸に残ります。
「じつは、世界で栽培されている植物の3分の1は、ミツバチの受粉によって実っているんです」
作物を実らせる、陰の立役者。ミツバチは、花粉を運ぶ“ポリネーター”として、生態系の要となる存在だったのです。その事実に強く心を動かされた福島は、ミツバチについて独自に調べはじめました。そして知ったのが、日本固有種である「ニホンミツバチ」が、環境の変化や外来種であるセイヨウミツバチを使った養蜂の普及など、さまざまな要因によって大きく数を減らしている現状でした。
「ニホンミツバチは、昔から日本の農業、ひいてはわたしたちの食を支えてきました。もし、わたしたちの暮らしが、その数を減らしている原因のひとつだとしたら、今度は増やす側にまわるべきだと思ったんです」
そう語る福島のなかで、ひとつの想いが、確かな決意へと変わっていきました。農業を支えるだけでなく、生態系そのものを守ること。そのために、フクシマ化学としてなにができるのか。
こうして、ニホンミツバチの未来を見据えた新たな事業構想が、静かに、しかし確かな意志をもって動きだしたのです。

ニホンミツバチを見つめることで
生まれる技術と発想。
ニホンミツバチの数が著しく減っている背景には、その繊細な生態も深く関わっているといわれています。古来より野生で生きてきたニホンミツバチは、巣箱や周囲の環境にわずかな不安を感じるだけで、静かに、そして迷いなく、巣を移してしまう。その飼育のむずかしさが、数を増やすことを阻む大きな壁となっていました。
ならば、わたしたちにできることはなにか ——
フクシマ化学がたどり着いた答えは、これまで培ってきたものづくりの技術で、ニホンミツバチの「暮らしやすさ」に寄り添うことでした。ニホンミツバチのWell-beingを実現するための、まったく新しい挑戦。
こうしてプロジェクトは具体的に動きだします。
新しい巣箱の開発。
ニホンミツバチの養蜂に取り組む人を増やすためのハチミツ活用の仕組みづくり。
そして、研究を通して、自然の大切さを次世代へ伝える教育の場づくり。
構想は、ひとつの製品にとどまらず、幅広い事業領域へと広がっていきました。
さらに福島は、その先の未来を見据えています。
「ニホンミツバチを見つめることで生まれる技術や発想を、人のWell-beingにもつなげていきたい。ものづくり企業として、人にとっても健全な未来に貢献していきます」
その想いを込めて、新たな事業は『BeBees』と名づけられました。
掲げたブランドコンセプトは、“Well-beeingからWell-beingへ”。ミツバチの健やかさから、人の健やかさへ。小さな命を起点に、暮らし全体を見つめ直す試みです。
このプロジェクトには、フクシマ化学だけでなく、さまざまな分野の企業、教育・研究機関、行政も加わり、ニホンミツバチとわたしたちの暮らしを変えるテクノロジーとアイデアを、ともに追い求めていく予定です。
そしていま、福島自身も、ニホンミツバチの養蜂に挑戦し、その小さな命と、日々向きあい続けています。未来を語るだけでなく、みずからの手で確かめながら。
現代のテクノロジーで、
命の営みを支えるインフラへ。
ニホンミツバチの暮らしに寄り添うために、プロジェクトチームがまず取り組んだのは、“住まい”づくりでした。さまざまな種類がある巣箱から選んだのは、古来より受け継がれてきた重箱式の巣箱。継ぎ箱によって群れの成長に対応できるその構造をベースに、ニホンミツバチにとってより安心できる環境とはなにかを、見つめ直しました。入口や観察用の窓を設け、外とのつながりを保ちながら、過度なストレスを与えない設計へ。伝統に学びながら、現代のテクノロジーで最適解を探る試みがはじまりました。
さらに、巣箱の内外を見守るための仕組みにも着手します。大学の工学部にも協力を仰ぎ、専門家のさまざまな知見をもとに、カメラによる観察、温度・湿度・照度・CO2濃度といった環境データの取得などに必要な機能を選び抜き、ミツバチの状態を“見える化”していきました。天敵であるハチノスツヅリガやオオスズメバチなどから群れや巣を守るためのセキュリティ対策も重ねながら、巣箱はたんなる箱ではなく、命の営みを支えるインフラへと進化していきました。

さまざまな企業や機関と、
領域を超えた交流へ。
この巣箱の開発は、ひとつの到達点でしかありません。
むしろ、ここから新たなものづくりが広がっていく起点だと、わたしたちは考えています。ニホンミツバチの暮らし方を深く理解することで得られる知見は、人の暮らしを支えるインフラプロダクトへと応用できる可能性を秘めている。小さな生命の営みのなかに、未来のヒントがあると信じているのです。
その視野は、さらに広がりを見せており、さまざまな分野の企業、教育・研究機関などとの連携を通じて、人と人とのつながりを育みながら、新たな価値を共創していく。そして、巣箱から採れたはちみつを活かし、シャンプーやトリートメントといったプロダクトの開発や、日常のなかで楽しめるメニューづくりへと展開。ニホンミツバチを中心に据えた取り組みは、やがて領域を越えた交流へと発展し、自然の恵みを暮らしのさまざまなシーンへとつなげながら、社会全体へと波及していく構想を描いています。
そしていま、見据えているのは、その先の風景です。
エネルギーに頼らず、自然と共生する「ゼロエネルギーミツバチハウス」の実現。
巣箱を中心に、多様な生き物が共存するビオトープの創出。
そして、これらを内包しながら、技術研究や共同開発を行う「BeBees BASE」の設立。
ニホンミツバチとともにある環境そのものをデザインすることで、
人と自然が調和する、新しい暮らしのあり方をカタチにしていこうとしています。
小さな命からはじまった挑戦は、やがて大きな未来へとつながっていく。
その一歩一歩を確かめながら、フクシマ化学のものづくりは、つぎのステージへと進み続けています。